【ブログ_感想】「空気」と「サラリーマン」_山本七平とアニメ『氷菓』から考える
どうも、たこやきです。
突然ですが、私は元サラリーマンです。システムの上流設計とルート営業をしており、数年ほどメーカーの営業事務もやっていました。
短い私の人生でも、”叫びたいけど叫べない瞬間”というのが何度もありました。思えば、楽しい・嬉しい・気持ちいい思い出よりも、そういうマイナスな感情のほうが鮮明に記憶に残るものですね(笑)。
さて、どんなに立派な会社でも、特定の管理職には「サラリーマン」の枠を超えられない部分があります。他人から見ればただのサラリーマンでしかなく、どれほど優秀であっても、辞めたくても辞められない空気が存在します。そんな空気が「私」の正常な思考を奪う瞬間があるのです。
「空気」の研究とサラリーマンの現実
山本七平の『「空気」の研究』を読み終えたとき、その考察が私の日常に深く突き刺さりました。日本社会の中で無意識に形成される「空気」の力について論じています。
(1977年 文藝春秋から刊行。全然色褪せない真実性がある)
この「空気」は人々の行動や思考に大きな影響を与え、ときには個々の判断力を奪います。会社の管理職も同じように、この「空気」に縛られています。どれほど立派な肩書きを持っていても、組織の中で生きる以上、この見えない力から逃れることは難しいのです。これが日常の中で私たちの思考を支配し、時には正常な判断を曇らせる原因となります。「空気」という権力を怖れて右往左往している。
そんな思考の合間に久しぶりに、アニメ『氷菓』を見ました。
このアニメは、高校一年生の折木奉太郎が、廃部寸前の「古典部」に入部し、好奇心旺盛な千反田える、中学からの腐れ縁である伊原摩耶花と福部里志とともに、数々の事件を推理していく青春学園ミステリーです。
アニメでは、京都アニメーション。
原作者は、米澤 穂信(ボトルネックで有名ですね!)
そんな作品の「 #5歴史ある古典部の真実 」から。
(※ネタバレありです!!)
作中の、45年前のカンヤ祭。
文化祭の日程短縮を言い渡された生徒たちは、反対運動組織を立ち上げます。(学生運動真っ盛りの時代背景あり)
しかしリーダーに立候補者がおらず、ヒロインの千反田えるの叔父、関谷が矢面に立つことになった。
彼自身、内気だったのでしょう。「No」と言えずにそれを了承し、反対運動の熱気に当てられて、学生感のキャンプファイヤーで焼失した格技場。
その責任として、関谷は退学処分となりました。
そんな関谷は古典部の文集を「氷菓」と名付けた。
「氷菓 = アイスクリーム = I Scream == 私は叫ぶ」
管理職としての責任、組織の中での立場、そして他人からの視線。これらが交錯する中で、私たちは自分自身を見失いがちです。『「空気」の研究』と『氷菓』を通じて、その現実を改めて見つめ直す機会となりました。
終わりに
私たちが直面する「空気」の力は強大ですが、それに抗うことができるのもまた人間の強さです。自分自身の考えを持ち続け、時にはその「空気」に立ち向かう勇気を持つことが、真の自由への一歩です。
『「空気」の研究』と『氷菓』から得た教訓を胸に、日常の中で少しでも自分らしさを取り戻す努力を続けていきたいと思いますね。
それと、氷菓の舞台についてのブログ記事も乗せておきます。October 3, 2012と古い記事ですが、愛があります。